上手に作る前に、試してみる。イタリアのアトリエから学ぶ表現遊び

同じ見本を見て作っても、色も形も進め方も違う。それは工作の困りごとではなく、子どもの考えを知る入口になります。今回はイタリアのレッジョ・エミリアの教育実践を手がかりに、家庭でできる表現遊びを考えます。

 

「100の言葉」は、表現の豊かさを示す考え方

Reggio Childrenが紹介するアトリエでは、素材や道具に触れながら考え、多様な方法で表現することが重視されています。「100の言葉」は、話すことや文字だけに限られない、子どもの多様な表現を表す考え方です。

これはレッジョ・エミリアの市立乳幼児教育施設で発展した実践で、イタリアのすべての園に共通する制度ではありません。家庭に専用の部屋や専門設備を再現する必要もありません。取り入れたいのは、手を動かす過程をよく見る姿勢です。

 

小さなトレーを「試せる場所」にする

紙、色えんぴつ、扱いやすい布など、その子が安全に使える素材を少し用意します。「今日はこの材料で、どんな感じを作ってみたい?」と声をかけ、選ぶところから始めてみましょう。

たとえば「ふわふわ」をテーマに、線で描く、紙を丸める、布を重ねる。同じ言葉から異なる表現を試せます。テーマを思いつかなければ、好きな色を並べるだけでもかまいません。素材を触って終わる日も、その日の過ごし方として受け止めます。

 

「何を作ったの?」以外の聞き方

形の名前をすぐに尋ねると、子どもが説明に困ることがあります。「ここはどんなふうに作ったの?」「さっきと色が変わったね」と、手順や変化に目を向けてみます。

大人が「これはお花だね」と決める前に、子どもの言葉を待つことも大切です。話したくないときは質問を重ねず、一緒に眺めるだけで十分。説明の上手さを求める時間にしないようにします。

 

デザイン遊びは、比べると面白い

同じ形の服を紙に二つ描いて、色の組み合わせだけ変えてみる。並べて見ると、「こっちは夜みたい」「明るく見える」と感想が生まれることがあります。どちらが正解かを決めるより、「そう感じたのはどの部分?」と考えを聞いてみましょう。

見本や型を使うことも、表現の妨げとは限りません。始める助けとして使い、色や模様など自分で決められる部分を残すと、選んだ理由を振り返りやすくなります。家庭でのこうした活動は、本格的なアトリエ実践そのものではなく、その考え方を参考にした遊びの提案です。

 

完成品だけでなく、途中の工夫も記録する

途中の写真と「紙を二枚にしたら立った」という一言を残してみます。記録は評価のためではなく、後で本人が見返せるようにするもの。写真を撮りたくない、作品を飾りたくないという気持ちも尊重します。

翌日「ここから続きを作る?」「別の色にする?」と選べるようにしておくと、完成が唯一の終点ではなくなります。片づける際は残したい部分を相談し、材料を安全に保管しましょう。

 

親子で選ぶ、次の表現の入口

描くこと、組み立てること、飾ること。好きな入口は子どもによって違います。ビュキフランスのデザイン遊びを選ぶときも、完成写真だけでなく、本人が楽しみたい工程に目を向けてみてください。

はさみや小さな部品などは対象年齢と説明書を確認し、必要な部分を大人が担当します。安全を整えたうえで、色や形を決める楽しみを子どもに残していきましょう。

 

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海外の資料をもとに、ビュキフランス公式ブログ向けに家庭での活動例を加えて編集しています。紹介した教育機関による商品推奨を意味するものではありません。